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小梅

明日で病院の名前にもなっている、三毛猫の小梅が亡くなって1年が経ちます。
小梅は14年前、背骨がポッキリと折れ、後ろ足が動かない状態で保護されました。
前足だけで動くことはできましたが、走ったり、ジャンプしたりはできなかったし、病院の居候ネコだったのでほとんど1日中ケージ生活で自由に動き回ることはできませんでした。
それでも、毎日毛づくろいや爪とぎをしたり、猫じゃらしで遊んだり、寂しくなると誰かを大きな声で呼んで撫でてもらったり、仲良しの猫たちと抱き合って寝たりと居候時代もなかなか幸せそうでした。
小梅を我が家に引き取った後は、デカいオスの先住猫2匹に遠慮することもなく、おしっこを漏らしながら家中を縦横無尽に動き回り、絨毯にたくさんのシミを作ってくれました。
小梅の調子が悪くなり、ごはんもあまり食べれなくなった時、小梅の幸せって、猫の幸せってなんだろうかと考えました。
小梅の猫人生を振り返ってみると、自由に野山を駆け回ることはもちろん、家の中でさも自由に動くこともできませんでした。そして、彼女の猫人生の大半はケージの中でした。でも不幸せだったかと言うとそうではなくて、たくさん制限がある中で、いつだって小梅は楽しそうでした。病気が悪化し、調子が悪くなって、さらにたくさんの猫らしいことができなくなってしまっても、大好きなベッドの上で撫でてもらっているときは幸せそうでした。
言葉でコミュニケーションが取れない動物の本当の気持ちは私たち人間には理解することができませんが、言葉でコミュニケーションを取らない動物は私たち人間の心を感じ取ることができると思っています。
人と暮らす猫や犬の幸せは猫らしい生活、犬らしい生活がおくれることと、さらに一緒に暮らす家族が幸せな気持ちで猫や犬に接することだと思っています。きっと小梅もそう感じてくれているだろうと思い、「小梅が我が家に来てくれて幸せだよ」という気持ちをいつでも思うようにしました。
小梅はなんでもわかっていたような気がします。
小梅は自分の代わりとなる拾った犬(つるこ)が我が家の正式な犬になったという通知が届いた翌日、今日から病院の改装工事が始まるという日に旅立っていきました。
開業したら犬を飼いたいとずっと思っていたので、小梅がつるこを連れて来てくれたような気がしますし、
色々あって改装工事の計画が遅れていたので、それを見届けて安心して逝ってしまったような気がします。
たくさん反省もあります。
私が小梅を連れ北国へ出稼ぎに行ってから病気が悪化し、さらに年末に体調を崩し、数日治療ができなかったことで急激に悪化。なんでバイトの誘いを受けてしまったのだろうか、あの時這ってでも治療をしておけばよかったと思うこともあります。
でもこれらのことがなかったら、後どのくらい生きれたかなんて誰にもわかりませんし、結局小梅はあの日を選んだかもしれません。
反省はありますが、後悔はしていません。家族みんなでできることを頑張ったと思っています。
私がほかの方より少し幸運だと思うことは、病院名をこうめ動物病院にしたことで、毎日小梅をそばに感じられることです。
毎日何度も「こうめ」という言葉を発したり、文字にしたり、聞いたりするので、寂しいと感じることが少ないです。
そして、膝の上に小梅を抱いて、「ありがとう」と言いながら、最期を看取ることができたことが、お互いにとっても幸せなことだったなぁと、1年経って思えるようになりました。
13年という命が短いのか長いのかはよくわかりません。
下半身不随やケージ暮らし、腎臓病、口内炎、尿路感染。
どれもこれもいらないものばかりですが、全部あって小梅の猫人生だったと思います。
たくさんの人にかわいがってもらい、たくさんの人に見送ってもらった小梅の猫人生は幸せだったと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
こんなブログを書いたのは、大切な猫や犬を看取るということは精神的にも肉体的にも大変つらいことだと思いますが、悲しいという気持ちだけではなく、「一緒にいて幸せだよ」とか「ありがとう」などに気持ちをぜひ伝えてほしいなぁと思って書きました。
私の少ない経験ですが、うまく「ありがとう」や「大好きだよ」「幸せだよ」が伝えられなかったときは、いいお別れができなく、悲しみだけがとても大きくなってしまった気がします。
猫や犬と家族が最期まで一緒に幸せな時間を共有できたら、本当にしあわせですね。
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